編み込む日常

30代半ばでシングルマザーになりました

不機嫌にさせてくる彼なら捨ててよし。

梅雨のわりに晴れの日が続いている。
ときどき黒い雲がやってきて、雨が降るかと警戒するけれど、降らずにに去っていく。

午前中は懐かしい仲間とオンラインでミーティングをした。最近は完全な個人プレーが続いていて、イベントに向けて数人で意見を合わせていくことが懐かしくもあり今となっては貴重だ。
お客さん以外の大人と話すのは久しぶりで、本題に行く前に近況を伝え合うとついつい長くなってしまう。半年ぶりに会う方もいて元気そうな様子が見れてほっとする。数少ない仕事の愚痴も言い合える仲で話は止まらない。

同じ業種といってもそれぞれに方向性も違えば、スキルも熱意も違い、競い合うこともなく、付かず離れずの関係がちょうどいい。

 

 

 

ところで、今では私のことを結婚していた頃の姓で呼ぶのはこのメンバーぐらいになった。

 

久しぶりに元夫の名字で呼ばれて、結婚している頃の自分が脳内でむくっと起き上がる。
あの頃の髪が長くて色が白く不安でおどおどをした20代の自分。
誰からも大切にされていない自分。
自分で自分を大切にできない自分。

 

離婚の理由ははっきり言えば、夫が私に飽きたのだ。
一緒にいることがつまらなくなり、苦痛だったのだろう。
家に帰ってこなくなり、女の人の影もあった。

結婚生活のほとんどの時間をどうにかつなぎとめることを考えていた。
つまらない人間だと事実を突きつけられる日々。

苦しかったなぁ。

苦しいけれど好きだったので自分からは離れられなかった。
だからいつも怒って、いつも泣いていた。

そしてますます状況は悪くなる。

 

「不機嫌な女は魅力がない」という自己啓発本を読んで、「もう怒らない」と自分に誓うも、1日と持たなかった。結婚中に何度「怒らない」と決めたことか。

そしてそれは、いつも、全然、無理だった。

怒る理由は寂しいからだ。

怒りはいつも自分の大切なものが正当に扱われていないという「寂しさ」からくると知ったのは結婚生活もほとんど終わりの頃。
いつも怒っている自分が心底嫌いだった。

 

 

旧姓で呼ばれてそんな自分が一瞬脳内をよぎり、抱きしめてやりたくなった。
怒るのも当然だし、あの扱いを受けて怒ることができた自分は最後の砦を捨てなかったからメンタルが完全に崩壊することがなかったのだろう。よくやった、自分。
離れることを決めるのは勇気が爆発的にいるから、それが遅くなったのは仕方がないこと。
遅くなったけれど決められて、よくやったよ、私。

随分と遠くまできたものだ。

いつも怒らなければならないような関係は終わりにしても何も後悔は残らなかった。

あんなに怒らなければならない生活が終わって、心底ホッとしている。

 

私が自己啓発本を書くなら、「不機嫌な女に魅力なし」ではなくて

「不機嫌にさせてくる相手なら、即、離れてよし。自分のご機嫌とっていこ!」だな。

 

 

オンラインミーティングでPCに映る自分は、あの頃に比べるとシワも目立つようになったし、髪のツヤも年相応だ。

それでも、夫を振り向かせたく髪をツヤツヤに保っていたあの頃よりも、何倍もいい表情をしていると思う。