編み込む日常

30代半ばでシングルマザーになりました

インターネットの芳しい森の中。

ここのところいつも仕事のために本を読んでばかりで、関連のないものを読んでいなかったことに気がついた。知識を与えてくれる本は刺激的で、ひとつ読み終えると次につながる欲しい本が自然と目の前に現れる。いや、Amazonがお勧めするか、ツイッターでフォローしている人が勧めている。

実に沢山のものに次から次に勧められる。手当たり次第買っていては身が持たないので、お気に入りにしたり、カゴに入れたりして、機が熟した頃合いで購入する。それはとても興味深く、たいていはいい出会いなのだが、気がつけば偏った本ばかり読んでいるのではないか。

 

仕事と寝る時間と娘といる時間以外はほとんどインターネットの森の中にいる。いや、仕事でもインターネットの中にいることがある。

 

費やした時間分その道の筋力がつくとして、今や私はプロのインターネッターとなっている。毎日毎日、プロのインターネッターになるべく鍛え訓練しているようなものだ。報酬はない。私が望んでその立場になったことになっている。私の時間を使って自分の意思で入ったインターネットの森である。

プロと言えば聞こえは良いが要するに格好のカモである。

消費者道をつきすすんでいるのではないか。勧められるままに購入しているわけではないし、自分なりに賢く利用しているつもりではあるが、それもまたプロの道である。

 

問題は、その道を極めたいと思ったことは一度もないことだ。

森の芳しい香りに引き寄せられ気がつけば森深く足を入れている。

目が覚めると無意識にその香りを思い出し、手が伸びる。はじめのうちに求めていたものは芳しい香りの源なのに、いつのまにかそんなことは忘れている。森に散りばめられた魅惑のものに気を取られているうちに時間が歪んだように過ぎている。

そのうち、芳しい香りさえどうでも良くなる。森の中に入れば魅惑のワクワクがあるのでは、と脳が覚えており、ほとんど無意識に足が向かい手が伸びる。

 

そうなりたいと望んだことは一度もないのに!鍛えたい筋力なら他にいくらでもあるのに!

 

そのことに愕然としてパソコンのふたを閉じ、久しぶりに本棚を漁る。お気に入りの詩集を2冊と、タイトルに惹かれて買ったものの絵を眺めただけで読んでいなかった児童書を手に取り、ソファに横になって読む。

ああ、この作家さん好きだなぁ。新刊出してないかなぁ、とスマホに手が伸びる。完全に病気である。